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三橋貴明さん

今回のゲストは、三橋貴明さんです。
『サムスン栄えて不幸になる韓国経済』青春出版社

豊富なデータを客観的に分析した経済評論が、話題の三橋貴明さんです。
一部の巨大企業が躍進し、繁栄しているかに見える韓国経済の真実について、三橋さんが青春出版社から出版した本「サムスン栄えて不幸になる韓国経済」をベースにお話を伺います。
消費税増税やTPPの問題と岐路に立つ日本経済の進むべき道が先にアメリカと自由貿易競艇を結んだ韓国の経済をみるとわかってきます。

韓国経済は外から見ると非常に華やかに見えます。
日本の企業は、なぜダメなのかと経済新聞に書かれています。
韓国企業のように日本も真似をしなければならない。
このようなことが、新聞や週刊誌に書かれています。
三橋さんの本を読みまして、世間でなされている論調と正反対の現実に驚きました。
韓国が寡占市場になったのは、1997年のアジア通貨基金の後に韓国は国際通貨基金の管理下に置かれました。
それまでは、今の日本のように一つの産業にたくさんの企業が参加していたのですが、それを強制的に統合されました。
韓国の市場は、巨大なガリバー企業が1社もしくは2社が半独占的に製品を提供する寡占市場になりました。
寡占市場になることで国民は利益を得ていないのです。
寡占市場というのは企業は高く製品を売ることができます。
日本のように複数の企業が競争していると価格競争になりますが、韓国はそれがありません。
質の良くない製品でも高く国民に売ることができます。
この時点で国民の損が発生しています。
アメリカでロビー活動が盛んなように同じことが韓国でも行われています。
サムスン電子は、韓国の中小企業よりも割合で税金を払っていないことになります。
税金を払わなくていい理由は、大企業は基本的に株式の半分は外資系に持たれています。
グローバル投資家達が投資をしています。
彼らが韓国政府を動かして、最も利益が大きくなり配当金が大きくなるようにシステムを変えさせてしまいました。
例えば、イ・ミョンバク政権になって、大手輸出企業に対して法人税の減免処置を行い、派遣社員の拡大を認めて人件費を引き下げる事を可能にした。
ウォン安政策をとって日本企業に勝てるようにしました。
ウォン安というのは韓国の輸入物価を引き上げるので、国民の損となります。
日本の場合はデフレなので、少し物価を上げる必要があります。
通貨が少し下がって輸入物価が上がりましたというのは、今のところは良い傾向となります。
韓国の場合は、インフレの所に輸入物価が上がったので、国民が単に貧乏になっただけです。
国債収支の統計をみると、毎年3月と4月に所得の流出が何千億円と出ます。
これが配当金です。
この配当金が外国にわたらないで、韓国国内に投資をされていたら雇用や所得拡大になりますが、これを外国人がもっていってしまうわけです。
サムスン電子は、応募した中で入社できるのは700人に1人です。
ほとんどの人には無理なことです。
韓国で本当の意味でお金持ちになる機会はありません。
サム新電子や現代自動車のような大企業に就職をするか、完全な負け組になるかという極端な社会になっています。
夢はとても狭い門になります。
韓国は、適正な為替レートの幅が非常に狭いのです。
そこよりもウォンが安くなってしまうと外国から借りている借金が返せなくなって大騒ぎになります。
通貨危機です。
そこよりも高くなると大手企業が日本企業に勝てなくなるという事で、非常に幅の狭い為替レートの中でしか生きられない国なんです。
リーマンショックの時に1ドル900ウォンぐらいだったのが、1600ウォンまで落ちました。
第二次通貨危機となりました。
この時に、日本が通貨スワップ協定を結んだことで、何とか戻ることができました。
このことは発表されったものの国民はこの意味はわからないでしょう。
韓国の経済学者は、この事実を知っていてもいう事はないでしょう。
日本に助けてもらったというと、韓国で袋叩きにあいます。
このことは日本の国民も知るべきですね。
先日の大統領選挙で経済民主化という声が叫ばれました。
これは、サムスンに代表される財閥の経済支配をなんとかしろということです。
韓国はすごいことになっていまして、サムスンや現代自動車、LGなどの財閥の売り上げ高が韓国のGDPの8割近くなっています。
韓国では、4人大学の卒業生がいたら1人は企業に正規入社できて、2人が派遣社員、1人は無職のパターンです。
米韓FTAに入る前でしたらなんとかなったかもしれませんが、韓国の立て直しはもう無理です。
韓国はこれでいてさらに退職の年齢が早くなっています。
そのため自営業者が多くなっています。
30%が自営業です。
また、高齢者の自殺率が高くなっています。
エリート中のエリートは問題ありませんが、それ以外は早めの退職となっています。
日本の新聞では、本当に上り詰めた人しか紹介されません。
しかし、彼らの後ろには上り詰める事が出来なかった人たちが数百倍いるという事をしっかりと報じるべきです。
パク・クネ大統領もさすがにこの財閥支配はだめだという事で、下請け企業がしっかりと収入を得られる方向を模索しています。
とりあえずは、法人税を取るべきです。
ただ、これは難しいでしょう。
韓国のウォンは、先ほども話しましたが1ドル1600ウォンまで落ちました。
その後もウォン安が続いたので、サムスンは何もしないでも常に半値のセールを日本企業に対してやっている状態でした。
日本の企業であるシャープの経営が悪化した理由は、国内に工場を作って人を雇って生産をしました。
これが過剰投資になりました。
最大の理由は国内の需要が伸びなかったデフレーションと円高です。
円高とデフレは通貨価値が上がるという意味で同じ現象です。
これが是正されていくので、なんとかなるのではないでしょうか。
シャープの国内の投資は結果的には過剰投資でした。
しかし、シャープは日本人を雇うために工場を作ってくれkました。
結果的に過剰投資で経営が悪化したために、ゾンビ企業は潰せと言う人がいますが、おかしい事です。
グローバリズムの世界だと、国内の人件費が高いとなると海外に工場を作ればいいというシンプルな発想になります。
そこに国民経済や国民の所得を増やすという発想が完全に欠落しています。
今日本はデフレで国民の所得が伸びません。
国内はだめだとなると海外で戦おうとしています。
そうすると海外で競争を激化して、人件費が上げられない。
それで国内の人件費を下げます。
またまた、国内の所得が減り受賞が伸びず、市場が拡大しないという自業自得なんです。
世界的にみると中流階級の所得が十分にあり、国内の需要で成長できる国は少なくなっています。
そう考えると日本が一番かもしれません。
日本が栄えていくための問題の一つは、金融資産です。
預金とかが高齢者に偏っています。
デフレの国はこのようになってしまいます。
その解決策は、インフレにすればいいのです。
そうすれば、彼らの持っている金融資産の価値が年々下がっていきます。
日本人はデフレに慣れすぎているため、デフレは通貨価値が上がる現象です。
預金をため込んでいくと価値が上がっていきます。
ただ、インフレ2%3%になってくるとこれは目減りしていくのが分かってくるので、お金を使い始めます。
金利が上がる分で目減り分が相殺されるという話ですが、増えていくまではいきません。
お金をどう使わせればいいのかという事に、目を向ければいいんです。
麻生財務大臣が、景気の気は気持ちの気です。といいました。
気持ちの気でこんなに変わるとは思っていませんでした。
野田総理大臣が解散宣言をしました。
それにより自民党のインフレ率を押し上げる政策が実行されることが高まりました。
そうすると、インフレになるという事は通貨の価値が下がるということです。
通貨の価値は外国の通貨に関しても下がります。
つまり、円安になるという事で、円を売ってドルを買うという事が始まりました。
これで、円安になりました。
すると、外国人にとって日本株がお買い得になります。
外国人が株を買いに走ると株価が上がって国内の投資家も買いに走ってという形で物が売れ始めました。
株価がどれだけ上がっても景気回復には関係ありません。
景気というのは国民の人々の所得が増える事です。
働いて稼いだ所得が増える事や物の価格が上がるという事が景気がいいという事です。
株式は金融資産なので、株券と言うこの世に存在していないものを買いましたという事で、そこに所得や労働は生まれていません。
株価が倍になっても景気が倍になったということは言えません。
景気はあくまでも所得の拡大という事です。

消費税増税は止めなければなりません。
今年の10月に時の政権が今年の4月から6月の経済状況を見て判断します。
安倍総理大臣や麻生財務大臣はデフレ脱却前の消費税増税はしませんと言っています。
麻生さん以上に経済に詳しい方は自民党にはいないのではないでしょうか。
エコカー減税やエコポイント、投資減税とか人件費を上げたら減税しますというお金が使われたら減税するという事をやっているので賢いです。
韓国でやったような法人税を減税するというのはだめです。
TPPはいろいろな側面があります。
TPPの問題は農業の事もありますが、アメリカは農業のことは重要視していません。
アメリカが重要視しているのは、日本のサービスです。
例えば、医療サービスや金融サービス、保険、運送、建設、法務サービスです。
サービスの規格統一です。
アメリカの弁護士の資格で日本の弁護士業務ができるようにしなさいという事や更に知的財産権の統一や投資の自由化が怖いです。
投資の自由化が起こると、アメリカやオーストラリアの投資家が日本の投資家と同等に遇するか優遇をしなければならない内国民待遇というのがあります。
そうなると、日本はTPP加盟国に対して外資規制が全くできなくなります。
放送局の株式は、外国人は20%しか持てませんが、外資規制撤廃となります。
アメリカではTPPを推進する企業連合があります。
その中にタイムワーナーがあります。
虎視眈々と日本のテレビ局を手に入れようと狙っています。
それが防げなくなります。
放送局を売却されたら事実上の主権喪失です。
重要なポイントは、テレビは何らかの影響で世論に影響を与えます。
日本の民主主義に影響を与えます。
それを外国の資本のテレビ局に持たれた場合は日本の民主主義は壊れます。
保険診療が適用できない自由診療の拡大しなさいという事や薬価制限の取っ払いが行われます。
保険の適用できない自由診療が増えて薬価が増えていくと医療費がどんどんと増えていきます。
そこにアメリカの医療保険会社がやってきて、保健サービスが入ってきます。
そうなると国民皆保険制度は維持されますが、形骸化します。
米韓FTAは国民皆保険制度は残っていますが、特区で自由診療を提供する巨大病院が造られましてそこでは高い治療が受けられるサービスが提供されています。
特区の良い治療を受けたいならば、わが社の医療保険サービスに入りなさい。とやってきます。
アメリカでは毎月20万円以上の保険料を支払わないとカバーできないと言われます。
家族4人で月に10万円で最低レベルの保険サービスとなります。
医療保険の株式会社化ほどアメリカの罪はないです。
それを日本に持ってこようとしています。
社会の形が変わってしまいます。
健康保険証を一枚持っていれば、どこでもそれなりの保険を受ける事が出来るというのが終わってしまいます。
アメリカで盲腸の手術を受けると一晩入院しただけで200万円と言われています。
日本にアメリカの弁護士が事務所を構えます。
何を狙うかというと知的財産権の訴訟です。
それで巨額の賠償金を勝ち取って、配当金としてアメリカにお金が渡ることになります。
これはすでに韓国で始まっています。
韓国が米韓FTAを受け入れたのは、日本の今の状況を見ればわかりますが、マスコミが正しい情報を提供しなかったからです。
FTAやTPPは国際条約なので、国内法の上に立ちます。
つまり国際条約を結んだら国内法を国際条約に合わせないといけないのです。
事実上の憲法です。
韓国は米韓FTAを国会で批准して、条約を締結した後にいろいろな問題がオープンになり結果的に手遅れになりました。
日本は韓国を見るべきです。
メディアにTPPに関連した韓国の話は出なくなりました。
反面教師として韓国を今こそ学ばなければならないという事です。